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2025.06.20 ニキビの治し方完全ガイド|医師が教える即効性のある対策と正しいケア方法
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ニキビは年齢を問わず多くの人が経験する肌トラブルですが、正しい治し方を知らずに悪化させてしまうケースが少なくありません。
本記事では、日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた正しいニキビの治し方から、即効性のある対策、セルフケアの方法まで、皮膚科専門医監修の信頼できる情報をお届けします。
ニキビでお悩みの方が、ニキビ跡を残すことなくきれいに治せるよう、実践的なアドバイスを詳しく解説していきます。
ニキビの治し方の基本原則
ニキビの治し方を理解するためには、まずニキビができるメカニズムを知ることが重要です。ニキビは「皮脂の過剰分泌」「毛穴の詰まり」「アクネ菌の増殖」という3つの要因が組み合わさることで発生します。
効果的なニキビ治療には以下のポイントが重要です。
適切な洗顔の実施
日本皮膚科学会が策定したガイドラインでは1日2回の適切な洗顔が推奨されており(※注1)、ニキビケアの基本的なセルフケアとして位置づけられています。
過度な洗顔は必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって皮脂の過剰分泌を招く可能性があります。
正しいスキンケア製品の選択
以下の条件を満たしたスキンケア製品を選ぶことが大切です。
- ノンコメドジェニックテスト済み:ニキビの初期段階であるコメドを誘発しにくい
- 低刺激性:炎症しているニキビ肌に負担をかけない
- 適度な保湿性:肌のバリア機能を維持する
バランスの取れた食生活
特定の食べ物を一律に制限する必要はありませんが、極端な偏食は避け、1日3食きちんと食べましょう。脂質や糖分は控えめにしビタミンやミネラルをバランス良く摂取することが重要です。
睡眠・ストレス管理
寝不足やストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こし、皮脂の分泌を過剰にします。夜更かししないように生活習慣を見直し、また適度な運動やリラクゼーションを取り入れることで、自律神経を整えることができます。
医学的治療の活用
セルフケアで改善しない場合は、皮膚科や美容皮膚科での専門的な治療を受けることが推奨されます。
即効性のあるニキビの治し方
「明日までにニキビを治したい!」という緊急事態に対応できる方法をご紹介します。
抗炎症薬による対処法
赤く炎症したニキビに対して、一晩で目立たなくする方法として最も効果的なのが抗炎症薬の使用です。 ただし、完全に治すことは困難なため、「炎症を抑えて目立たなくする」ことを目標とした応急処置として考えてください。
使用方法
- 洗顔後、ニキビ以外の部分に化粧水をつける
健康な肌部分の乾燥を防ぐためです。 - 患部を覆うように抗炎症薬を塗布
薄く均一に塗り、厚塗りは避けましょう。 - そのまま一晩過ごす
睡眠中に成分がじっくりと浸透し、炎症を抑制します。
ニキビパッチの活用
ニキビパッチは、韓国発祥のニキビケアアイテムとして近年注目を集めています。 直接的な治療効果よりも、外部からの刺激を遮断し、悪化を防ぐ「保護」の役割が主な目的です。
メリット
- 細菌や紫外線から保護
日中の外的刺激からニキビを守ります。 - 触ることを防げる
無意識に触ってしまう癖がある人に特に効果的です。 - 抗炎症・抗酸化作用を含む製品もある
成分が配合されたタイプなら、保護しながら治療も期待できます。
膿を持ったニキビへの対処
膿がたまった赤ニキビには、抗生物質が有効な場合があります。ただし、自己判断での使用は避け、薬剤師や医師に相談することをおすすめします。
種類別ニキビの治し方
ニキビは進行段階によって適切な治し方が異なります。それぞれの特徴と対処法を詳しく解説します。
白ニキビ・黒ニキビの治し方
初期段階のニキビには、毛穴の詰まりを解消することが重要です。
ニキビの種類 特徴 治し方 白ニキビ 毛穴に皮脂が詰まった状態 ピーリング作用のある外用薬 黒ニキビ 毛穴の開口部が酸化して黒くなった状態 適切な洗顔とピーリングケア 初期段階の白ニキビは、毛穴に皮脂や角質が詰まって白く盛り上がった状態です。 この段階では炎症がまだ起きていないため、毛穴の詰まりを解消するピーリング作用のある外用薬が効果的です。
黒ニキビは白ニキビが進行し、毛穴の開口部が空気に触れて酸化することで黒く見える状態です。 この場合も炎症は起きていないため、適切な洗顔で汚れを取り除き、ピーリングケアで角質の代謝を促すことが重要になります。
推奨される治療薬
- アダパレンゲル(ディフェリンゲル)
- 過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)
▶︎▶︎白ニキビの治し方を詳しく見る
▶︎▶︎黒ニキビの治し方を詳しく見る
赤ニキビの治し方
炎症を起こした赤ニキビには、抗炎症・抗菌作用のある治療が必要です。
効果的な治療法
- 外用抗生物質:クリンダマイシン、ナジフロキサシン
- 内服抗生物質:ドキシサイクリン、ミノサイクリン
- 配合剤:デュアックゲル、エピデュオゲル
赤ニキビは毛穴にアクネ菌が増殖し、炎症反応を起こしている状態です。この段階では、炎症を抑える抗生剤の内服薬や外用薬が主な治療となります。
炎症が強い場合は、ステロイド注射による局所治療やLED光療法なども併用されます。赤ニキビは色素沈着やクレーターのリスクが高いため、早期の適切な治療が重要です。
▶︎▶︎赤ニキビの治し方を詳しく見る
黄ニキビ(膿疱)の治し方
膿を持ったニキビは、セルフケアでは悪化のリスクが高いため、皮膚科での治療が推奨されます。
治療の流れ
- 医師による診察
- 適切な抗生物質の処方
- 必要に応じて面皰圧出術の実施
黄ニキビは赤ニキビがさらに悪化し、毛穴に膿が溜まった状態です。この段階では強力な抗生剤による治療が必要で、場合によっては皮膚科で専用器具による膿の排出が行われます。
自己判断で潰すと細菌感染を起こして症状が悪化し、深いクレーターや色素沈着を残すリスクが非常に高くなります。
▶︎▶︎黄ニキビの治し方を詳しく見る
セルフケアでのニキビの治し方
自宅でできるニキビケアの方法を、正しい手順とともに詳しく解説します。
正しい洗顔方法
- 手を清潔にする:雑菌の付着を防ぐ
- 洗顔料を泡立てる:泡立てネットを使用して細かい泡を作る
- 優しく洗う:Tゾーンから始めて、泡で包み込むように洗う
- しっかりすすぐ:ぬるま湯(32℃程度)で洗顔料を完全に落とす
- タオルで拭く:清潔なタオルでポンポンと押し当てるように水分を取る
- 保湿する:洗顔後すぐに化粧水と乳液で保湿
正しい洗顔は、ニキビケアの基本中の基本です。 ただし、やり方を間違えると肌に負担をかけ、かえってニキビを悪化させる可能性があります。 以下の手順を守って、肌に優しい洗顔を心がけましょう。
スキンケアの3つのポイント
1. 肌を清潔に保つ
皮脂や汚れによる毛穴詰まりを防ぐため、朝夜の2回洗顔を基本とします。2. 水分と油分のバランスを整える
たっぷりの化粧水でハンドプレスし、軽めの油分を含んだゲルやミルクで保湿します。3. 肌を刺激しない
以下の行為は避けましょう。- ふき取りやスクラブの使用
- 洗顔ブラシやコットンでのこすり
- 長時間のクレンジング(1分以内推奨)
ニキビケアにおいて、スキンケアの基本を正しく実践することは治療薬と同じくらい重要です。 多くの人が「ニキビ肌だから保湿は不要」「しっかり洗えば治る」などの誤解を持ちがちですが、実際にはバランスの取れたケアが必要です。
市販薬の選び方
市販のニキビ薬を選ぶ際は、配合されている有効成分を理解することが重要です。
成分名 効果 適用ニキビ イブプロフェンピコノール 抗炎症作用 赤ニキビ イソプロピルメチルフェノール 殺菌作用 初期~炎症ニキビ サリチル酸 角質軟化作用 白ニキビ・黒ニキビ それぞれの成分にはニキビの症状に対する特定の作用があり、ニキビの種類や進行段階に応じて使い分けることで、より効果的な治療が期待できます。
皮膚科でのニキビの治し方
セルフケアで改善しない場合や、確実に治したい場合は、皮膚科での治療が最も効果的です。
強く推奨される治療薬
日本皮膚科学会のガイドラインで「強く推奨」されている治療薬をご紹介します(※注2)。
外用薬(塗り薬)
- ベピオゲル・ベピオローション:過酸化ベンゾイルによる殺菌・ピーリング作用
- ディフェリンゲル:アダパレンによる毛穴詰まりの改善
- エピデュオゲル:上記2つの配合剤で相乗効果
- デュアックゲル:過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの配合剤
内服薬(飲み薬)
- ドキシサイクリン:抗炎症・抗菌作用
- ミノサイクリン:広範囲のニキビに効果的
皮膚科と美容皮膚科の違い
ニキビ治療を受ける際、皮膚科と美容皮膚科のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。両者には明確な違いがあり、ご自身の症状や治療目標に応じて選択することが大切です。
項目 皮膚科 美容皮膚科 目的 ニキビの症状を治す 肌質改善・根本治療 治療法 保険適用の外用薬・内服薬 保険適用外の多彩な治療 費用 比較的安価 割高だが効果的 治療期間 症状改善まで 再発予防まで 一般的な皮膚科では、現在できているニキビの炎症を抑え、症状を改善することが主な目的となります。保険適用の治療が中心となるため、費用を抑えながら標準的な治療を受けることができます。
一方、美容皮膚科では症状の改善だけでなく、ニキビができにくい肌質への根本的な改善や、ニキビ跡の治療まで包括的にアプローチします。保険適用外の治療も多く含まれるため費用は高くなりますが、より幅広い選択肢から最適な治療を選ぶことができます。
治療の流れ
初回診察
- 症状の確認と肌質の診断
- 治療方針の説明
- 薬の処方と使用方法の指導
初回の診察では、現在の症状だけでなく、ニキビの発症時期、これまでの治療歴、生活習慣なども詳しく聞き取ります。
経過観察
- 2〜4週間後に再診
- 効果と副作用の確認
- 必要に応じて治療薬の変更
経過観察では、薬の効果や副作用を確認しながら治療を調整していきます。
ニキビ治療は一回の診察で完結するものではなく、継続的な経過観察が重要です。 適切な治療効果を得るためには、医師と患者様が二人三脚で治療に取り組む必要があります。
生活習慣から見るニキビの治し方
ニキビの根本的な改善には、外用薬だけでなく生活習慣の見直しが欠かせません。
食生活の改善
ニキビに良い食べ物
- ビタミンC豊富な食材:レモン、赤ピーマン、アセロラ
- ビタミンB群を含む食材:納豆、豚肉、玄米
- 亜鉛を含む食材:牡蠣、レバー、ナッツ類
- 食物繊維豊富な食材:ゴボウ、キノコ類、海藻
ニキビの改善には、肌の健康を支える栄養素をバランス良く摂取することが重要です。特にビタミンCは強力な抗酸化作用でニキビの悪化を抑制し、コラーゲン生成を促進してニキビ跡の改善にも効果が期待できます。
避けるべき食べ物
- 糖質・脂質の多いスイーツ
- ファーストフードや揚げ物
- 清涼飲料水
- 過度のアルコール
食事がニキビに与える影響については、医学的に完全に解明されているわけではありません。しかし、特定の食品がニキビを悪化させる可能性があることは多くの研究で示唆されており、摂取量をコントロールすることでニキビの改善に役立つ可能性があります。
睡眠の質の向上
良質な睡眠のポイント
- 7〜8時間の睡眠時間を確保
- 寝る前のスマートフォン使用を控える
- 寝室の環境を整える(温度・湿度・暗さ)
睡眠不足は免疫力の低下やホルモンバランスの乱れを引き起こし、皮脂の過剰分泌や肌のターンオーバーの乱れにつながります。質の良い睡眠を確保することで、ニキビの治癒を促進し、新しいニキビの発生を予防できます。
ストレス管理
効果的なストレス解消法
- 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
- 趣味の時間を持つ
- 深呼吸や瞑想
- 十分な休息
現代社会では完全にストレスを避けることは困難ですが、適切にコントロールすることは可能です。慢性的なストレスは自律神経を乱し、男性ホルモンの分泌を促進させてニキビを悪化させるため、効果的なストレス管理がニキビの改善につながります。
ニキビの治し方のNG行動
間違ったケアはニキビを悪化させ、跡が残る原因となります。避けるべき行動を詳しく解説します。
絶対にやってはいけないこと
1. ニキビを触る・潰す
手には1㎠あたり40,000〜50,000個もの細菌が存在します。ニキビを触ることで細菌感染が起こり、炎症が悪化する可能性があります。
2. 過度な洗顔
1日に何度も洗顔をすると、必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって皮脂の過剰分泌を招きます。
3. 刺激の強いスキンケア
以下の行為は肌に負担をかけるため、避けるようにしましょう。
- ゴシゴシ洗い
- スクラブの使用
- アルコール系化粧水の使用
- 長時間のマッサージ
よくある間違い
厚塗りのメイクで隠し続ける
一時的には隠せますが、毛穴を詰まらせてニキビを悪化させる原因となります。ニキビを放置する
「触らない方が良い」と完全に放置すると、皮脂やアクネ菌が増殖してニキビが悪化することがあります。自己流の民間療法
歯磨き粉や氷を使った治療法などは、肌に深刻なダメージを与える可能性があります。ニキビとの正しい向き合い方
早期の適切な対処
初期段階で正しいケアを始めることで、ニキビ跡を防げます。専門医への相談
セルフケアで改善しない場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。継続的なケア
ニキビ治療は短期間で結果が出るものではありません。3ヶ月程度の継続的なケアが必要です。まとめ:正しいニキビの治し方で美肌を手に入れよう
ニキビの治し方は、その種類や進行段階、個人の肌質によって異なります。最も重要なのは、正しい知識に基づいた適切なケアを継続することです。
重要なポイントを再チェック
- 基本のスキンケアを徹底する:1日2回の適切な洗顔と保湿
- 生活習慣を見直す:バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理
- 間違ったケアを避ける:触らない、潰さない、過度な洗顔をしない
- 適切な治療薬を使用する:市販薬から始め、必要に応じて皮膚科を受診
- 継続的なケアを心がける:短期間で結果を求めず、3ヶ月程度の継続が重要
現在では効果的なニキビ治療薬が数多く開発されており、適切な治療を受ければほとんどのニキビは改善可能です。一人で悩まず、必要に応じて専門医に相談することで、ニキビ跡を残すことなくきれいな肌を取り戻すことができます。
美しい肌は一日にして成らず。正しいニキビの治し方を実践して、自信を持てる美肌を手に入れましょう。
【参考文献】
※注1,注2) 参考:尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023,https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023.pdf,CQ のまとめ,2025年6月13日