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2025.12.20 2025.12.23 酒さの薬による治療法を徹底解説|塗り薬・飲み薬の種類と効果
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顔の赤みやブツブツが気になる、寒暖差で症状が悪化する、そんな悩みを抱えていませんか?
それは「酒さ」という皮膚疾患かもしれません。
酒さは30代以降の女性に多く見られる慢性的な皮膚疾患で、適切な治療を行わないと症状が長期化することがあります。
この記事では、酒さ治療に使用される薬の種類や効果について詳しく解説します。
監修医師
天神みきクリニック
院長 河野美己
日本皮膚科学会皮膚科専門医
目次
酒さ治療薬の選び方

酒さの治療では、症状の寛解や緩和を目指して長期的に症状をコントロールしていくことが重要です。
完治が難しい疾患ですが、適切な薬物療法により症状を大きく改善することが可能です。
酒さの治療薬は、症状のタイプによって選択されます。
酒さのタイプ 主な症状 推奨される治療薬 紅斑毛細血管拡張型(第1度) 顔の赤み、毛細血管の拡張 メトロニダゾール、タクロリムス、レーザー治療 丘疹膿疱型(第2度) 赤いブツブツ、膿を持ったブツブツ メトロニダゾール、イベルメクチン、抗生物質内服 瘤腫型・鼻瘤(第3度) 鼻の腫れ、でこぼこ イソトレチノイン内服、レーザー治療 酒さの症状は個人差が大きく、また同じ患者さんでも時期によって症状が変化することがあります。
紅斑毛細血管拡張型(顔の赤みが主な症状)
顔全体の赤みや毛細血管の拡張が目立つタイプには、以下の治療が推奨されます。
- 第一選択:メトロニダゾール外用(保険適用)
- 併用可能:タクロリムス外用
このタイプでは、外用薬による治療に加えて、悪化因子を避けることが特に重要です。
また、Vビーム等のレーザー治療も効果的です。
丘疹膿疱型(赤いブツブツが主な症状)
ニキビのような赤いブツブツや膿を持ったブツブツがあるタイプには、以下の治療が効果的です。
軽症〜中等症
- メトロニダゾール外用
- イベルメクチン外用
- アゼライン酸外用
中等症〜重症
- 上記外用薬に加えて抗生物質内服を併用
- ドキシサイクリンまたはミノサイクリンの内服
難治性
- イソトレチノイン内服を検討
このタイプは酒さの中で最も多く見られ、ニキビと間違われやすいですが、ニキビ特有の毛穴の詰まり(面皰)がないことが特徴です。
瘤腫型・鼻瘤(鼻の腫れや変形がある症状)
鼻が腫れてでこぼこになっているタイプには、以下の治療が検討されます。
- イソトレチノイン内服
- ロングパルスYAGレーザー治療
- 必要に応じて外科的切除
このタイプは治療が難しく、複数の治療法を組み合わせることが多くなります。
症状の程度や患者さんの体質、妊娠の可能性などを総合的に判断して、最適な治療法が選択されます。
酒さの外用薬(塗り薬)

酒さの治療において、塗り薬は症状改善の中心的な役割を果たします。
メトロニダゾール(ロゼックスゲル)
メトロニダゾールは、日本で唯一酒さに対して保険適用が認められている外用薬です。
世界80カ国以上で酒さの標準治療薬として使用されており、2022年5月に日本でも保険適用となりました。
メトロニダゾールの主な作用
- 抗炎症作用により皮膚の慢性的な炎症を抑える
- 免疫抑制作用により過剰な免疫反応を抑える
- 酒さの原因の一つであるニキビ菌や毛包虫の増殖を抑制
- 活性酸素の生成を抑えて皮膚ダメージを軽減
メトロニダゾールは特に丘疹膿疱型酒さの赤いポツポツに効果的です。
効果が出るまでの目安は約2週間です。
赤いブツブツは比較的早く改善しますが、赤みの改善には時間がかかることがあります。
タクロリムス外用薬
タクロリムスは本来アトピー性皮膚炎の治療薬ですが、酒さに効果的なことが知られています。
ステロイド外用薬と同様に赤みや炎症を抑える作用がありますが、ステロイドとは異なる重要なメリットがあります。
タクロリムスの利点
- 長期使用しても皮膚が薄くならない
- 毛細血管を拡張させる副作用がない
- 予防的な使用も可能
- ステロイドによる酒さ様皮膚炎のリスクがない
特に酒さの赤みやほてり感に対して効果が期待できます。
ただし、使用開始時に刺激感やヒリヒリ感を感じることがあるため、症状に応じて使用頻度を調整することがあります。
イベルメクチンクリーム
イベルメクチンクリームは、米国FDAで酒さ治療薬として承認されており、世界的に広く使用されている外用薬です。
日本では保険適用外のため自費診療となりますが、メトロニダゾールよりも効果が高いことが報告されています。
イベルメクチンクリームの主な作用
- 抗寄生虫作用により酒さの原因となるニキビダニを減少させる
- 抗炎症作用により皮膚の炎症を抑える
- 丘疹膿疱型酒さの赤いブツブツや赤みに効果的
- 刺激性が低く、副作用が少ない
イベルメクチンは酒さの外用薬の中でも刺激性が低く、副作用も少ない特徴があります。
早ければ2週間程度で治療効果を実感できることもあり、メトロニダゾールやアゼライン酸で効果が見られなかった方にも有効である可能性があります。
継続的な使用により、ニキビダニの数が減少し、炎症が改善されていきます。
アゼライン酸外用薬
アゼライン酸は穀物由来の成分から作られた外用薬で、海外では30年以上前から使用されている実績のある治療薬です。
日本では未承認のため自費診療となりますが、米国FDAなど諸外国で承認されており、安全性と有効性が確認されています。
アゼライン酸の主な作用
- 抗炎症作用により皮膚の炎症を抑える
- 皮脂の分泌を抑制し、毛穴の状態を改善
- 抗菌作用により酒さの原因菌を抑制
- 角化(皮膚の角質化)を抑制する作用
アゼライン酸はメトロニダゾールと同等の有効性があるとされており、丘疹膿疱型酒さのブツブツした症状の改善が期待できます。
アゼライン酸製品の種類
製品名 濃度 特徴 AZAクリア 20% 高濃度配合、酒さのブツブツに効果的 ベーシックケアAZ 低濃度 毎日のスキンケアに使いやすい、刺激が少ない 高濃度のアゼライン酸は治療効果が高い反面、刺激感が強くなる傾向があります。
また、低濃度製品は顔全体の毎日のスキンケアに適しており、高濃度製品と併用することも可能です。
ミノサイクリン外用クリーム
ミノサイクリンは従来、内服薬として酒さやニキビの治療に使用されてきた抗生物質ですが、近年、外用薬としても使用されるようになりました。
ミノサイクリン外用薬の特徴
- 抗炎症作用により酒さの症状を改善
- 丘疹膿疱型の酒さに効果的
- 1日1回の塗布で効果を発揮
- 日本では未承認のため自費診療
米国では2019年より酒さ・ニキビの塗り薬として使用されています。
酒さの内服薬(飲み薬)

外用薬だけでは症状のコントロールが難しい場合や、より積極的な治療が必要な場合には、内服薬が使用されます。
酒さの内服療法には主に抗生物質とイソトレチノインがあり、症状の種類や重症度に応じて選択されます。
抗生物質
抗生物質の内服は、丘疹膿疱型酒さに対して効果的な治療法です。
主に使用される抗生物質
- ドキシサイクリン(ビブラマイシン)
- ミノサイクリン(ミノマイシン)
- テトラサイクリン
これらの抗生物質は、単なる抗菌作用だけでなく、抗炎症作用や免疫調整作用も持っています。
抗生物質の主な作用
- 酒さの原因の一つであるニキビダニを減少させる
- 皮膚の炎症を抑える
- 免疫反応を調整し、症状の悪化を防ぐ
- 丘疹や膿疱などのブツブツを改善
禁忌(使用できない方)
- 過去に同じ成分でアレルギーを起こした方
- テトラサイクリン系抗生物質にアレルギーがある方
- 妊娠中・授乳中の方
酒さの治療は長期にわたることが多く、抗生物質の内服期間も長くなる傾向があります。
そのため、定期的に医師の診察を受け、副作用のチェックを行いながら治療を続けることが重要です。
イソトレチノイン
イソトレチノインは、重症ニキビの治療薬として知られていますが、酒さに対しても高い効果があることが報告されています。
外用薬や抗生物質の内服で改善が見られない難治性の酒さに対して、選択肢の一つとして検討されます。
イソトレチノインの主な作用
- 皮脂腺の活動を抑制し、皮脂分泌を減少させる
- 皮膚の炎症を強力に抑える
- 酒さの赤いブツブツを改善
- 肌のゴワゴワ感を改善
イソトレチノインは特に瘤腫型・鼻瘤の酒さや、他の治療法で効果が不十分な場合に有効です。
禁忌(使用できない方)
- 妊娠中の方、妊娠を希望する方
- 授乳中の方
- 肝機能障害のある方
- 重度の高脂血症の方
イソトレチノインは効果が高い反面、副作用も多いため、医師との十分な相談の上で慎重に使用を決定する必要があります。
酒さの薬と他の治療薬との併用
酒さの治療では、複数の薬を組み合わせることでより高い効果が期待できます。
中等症以上の丘疹膿疱型酒さでは、外用薬と内服薬を併用することが推奨されます。
また、薬物療法だけでは改善が難しい赤みや毛細血管拡張に対しては、レーザー治療を併用することがあります。
酒さの薬による治療の副作用と対策

酒さの治療薬は一般的に安全性が高いものの、副作用が全くないわけではありません。
外用薬の副作用と対処法
外用薬で最も多く見られる副作用は、皮膚の刺激症状です。
多くの場合は軽度で一時的なものですが、適切な対処が必要です。
皮膚の刺激感・ヒリヒリ感
外用薬を使い始めた時に感じることが多い症状です。
対処法
- 使用頻度を減らす(1日2回→1日1回、または1日おき)
- 保湿を丁寧に行ってから薬を塗る
- 1〜2週間の継続で症状が落ち着くことが多い
皮膚の赤み・かゆみ
薬剤成分による一時的な炎症反応で、特にアゼライン酸で見られやすい症状です。
対処法
- 使用初期の赤みは1〜2週間で改善することが多い
- かゆみが強い場合は使用を一時中断
- 症状が続く場合は医師に相談
皮膚の乾燥
薬剤による皮膚水分の減少が原因です。
特にメトロニダゾールやアゼライン酸で見られることがあります。
対処法
- 保湿ケアを丁寧に行う
- 保湿剤を塗ってから治療薬を使用する
- 低刺激の保湿剤を選ぶ
ただし、症状が悪化した場合は直ちに使用を中止し、医師の診察を受けましょう。
内服薬の副作用と注意点
内服薬は全身に作用するため、定期的な検査と適切な対処が重要です。
抗生物質内服の主な副作用
- 消化器症状(食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛)
- めまい・ふらつき(立ちくらみ、回転性のめまい)
- 肝機能障害
- 光線過敏症(日光に当たると皮膚が赤くなる、かゆみ)
抗生物質は比較的安全性の高い薬ですが、長期使用する場合は注意が必要です。
イソトレチノイン内服の副作用
- 皮膚・粘膜の乾燥(唇の乾燥・ひび割れ、皮膚の乾燥)
- 肝機能障害・高脂血症
- 精神症状(うつ症状、気分の落ち込み)
イソトレチノインは強力な薬剤のため、副作用も多様です。
使用前に十分な説明を受け、定期的なモニタリングが必須です。
酒さの効果を高めるスキンケア

酒さの治療では、薬を正しく使うことはもちろん、日常生活での注意が症状の改善に大きく影響します。
特に適切なスキンケアは、薬の効果を最大限に引き出すために不可欠です。
洗顔のポイント
酒さの肌は過度な刺激を避けることが重要です。
洗顔は1日2回が基本で、それ以上洗うと必要な皮脂まで落としてしまい、バリア機能がさらに低下します。
洗顔方法
- ぬるま湯(32〜34℃)を使用
- 泡立てネットでしっかり泡立てる
- 顔をこすらず、泡で優しく洗う
- 洗い残しがないようにしっかりすすぐ
- タオルで拭く時も押さえるように(ゴシゴシ拭かない)
洗顔後はできるだけ早く保湿をすることが大切です。
洗顔後の肌は水分が蒸発しやすく、放置すると乾燥が進んでしまいます。
保湿ケアのポイント
酒さの肌は乾燥しやすく、また治療薬によって乾燥が悪化することもあります。
保湿剤の選び方
- 低刺激・無香料のもの
- セラミド配合(バリア機能を補う成分)
- ナイアシンアミド配合(抗炎症・赤み改善効果)
- アルコール(エタノール)を含まないもの
- オイルフリーまたは軽いテクスチャー
- パッチテスト済み、アレルギーテスト済みのもの
適切な保湿は、肌のバリア機能を回復させ、治療薬の刺激を軽減する効果があります。
また、保湿剤を先に塗ることで、治療薬の刺激を和らげることができます。
日焼け止めの使用
紫外線は酒さの症状を悪化させる主要な要因の一つです。
日焼け止めは酒さ治療において「必須のスキンケア」と言えます。
日焼け止めの選び方
- SPF30以上、PA+++以上
- 敏感肌用、ノンケミカル処方のもの
- ウォータープルーフタイプは刺激が強いことがあるため、日常使いは避ける
曇りの日や室内でも、窓ガラスを通して紫外線は入ってくるため、毎日の使用が推奨されます。
治療効果が現れるまでの期間
酒さの治療薬は効果が現れるまでに時間がかかるのが特徴です。
治療薬 効果が現れ始める期間 最大効果までの期間 メトロニダゾール外用 2週間程度 2〜3か月 イベルメクチン外用 2週間程度 3〜4か月 アゼライン酸外用 2週間〜1か月 3か月以上 抗生物質内服 2〜4週間 2〜3か月 イソトレチノイン内服 4〜8週間 4〜6か月 また、症状のタイプによって効果が実感できるまでの期間は異なります。
症状別の改善パターン
- 丘疹・膿疱:比較的早く改善(数週間〜数か月)
- 赤み:改善に時間がかかる(数か月〜数年)
- 毛細血管拡張:外用薬だけでは改善が難しく、レーザー治療が必要なことが多い
「効果がない」と感じても、長期的な視点で着実に改善を目指しましょう。
薬で改善しない赤みには、血管に作用するレーザーが有効です。福岡・天神で赤ら顔・酒さ治療をご検討の方は当院へご相談ください。
酒さの薬に関するよくある質問
酒さの治療薬について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
酒さの薬は市販されていますか?
酒さの治療に有効な薬は、医師の処方が必要な医療用医薬品です。
市販のニキビ薬や赤み改善化粧品では、酒さの根本的な治療はできません。
顔の赤みやブツブツが気になる場合は、皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。
酒さの薬は一生使い続ける必要がありますか?
必ずしも一生使い続ける必要はありませんが、酒さは慢性的な疾患で、治療を中止すると再発することがあります。
しかし、適切な治療と生活習慣の改善により、徐々に薬の量や頻度を減らしていくことは可能です。
治療の中止や減量については、必ず医師と相談しながら慎重に進めましょう。
妊娠中・授乳中でも酒さの薬は使えますか?
使用できる薬と使用できない薬があります。
妊娠中・授乳中の方は、必ず医師に申し出てください。
また、妊娠の可能性がある方は、治療開始前に医師に相談し、安全な治療法を選択することが重要です。
まとめ|酒さの薬による適切な治療を受ける
酒さは慢性的な皮膚疾患ですが、適切な薬物療法により症状のコントロールが可能です。
酒さ治療のポイント
- 保険適用のメトロニダゾールをはじめ、複数の治療薬から選択できる
- 症状のタイプや重症度に応じて、外用薬と内服薬を使い分ける
- 効果が現れるまでに時間がかかるため、根気強く治療を継続することが大切
- 薬物療法だけでなく、日常生活での増悪因子を避けることも重要
酒さの症状でお悩みの方は、自己判断せずに皮膚科専門医に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
早期に適切な治療を開始することで、より良い治療効果が期待できます。
天神みきクリニックの赤ら顔・酒さ治療
その「顔の赤み・ほてり」、体質だと諦めていませんか?
赤ら顔や酒さ(しゅさ)は、正しい診断と適切な治療で改善できる疾患です。
当院では、血管に作用するレーザー「Vビーム」をはじめ、内服・外用薬・スキンケア指導を組み合わせた、皮膚科専門医によるトータルケアをご提案します。