思春期ニキビの治し方完全ガイド|原因から予防まで徹底解説
中学生や高校生の多くが経験する思春期ニキビは、青春期の大きな悩みの一つです。
突然できるニキビに困惑し、どう対処すればよいか分からないまま悪化させてしまうケースも少なくありません。
本記事では、思春期ニキビの正しい知識から効果的な治し方、予防対策まで専門的な視点で詳しく解説します。
適切なケアを行えば、思春期ニキビは改善できる肌トラブルですので、正しい方法を身につけて健やかな肌を目指しましょう。
思春期ニキビの基本知識と原因
思春期ニキビは、10代の成長期に発症する尋常性ざ瘡と呼ばれる皮膚疾患です。
約90%の人が経験し、平均発症年齢は13.3歳とされています(※注1)。
思春期ニキビが発症するメカニズム

思春期ニキビの発症には、以下の3つの要因が複合的に関与しています。
皮脂の過剰分泌
第二次性徴期における成長ホルモンや性ホルモンの急激な増加により、皮脂腺が刺激されて皮脂が過剰に分泌されます。
特に男性ホルモンの働きが活発になることで、皮脂量が通常の2~3倍に増加することがあります。
毛穴の詰まり
過剰に分泌された皮脂と古い角質が混ざり合い、毛穴の出口を塞いでしまいます。
思春期は角質の新陳代謝も活発であるため、毛穴に詰まりやすい状態が続きます。
アクネ菌の増殖
毛穴に詰まった皮脂を栄養源として、アクネ菌が異常増殖します。
アクネ菌は本来皮膚の常在菌ですが、皮脂が豊富な環境下では炎症を引き起こす物質を産生し、ニキビの悪化につながります。
思春期ニキビの発症時期と経過
思春期ニキビは一般的に小学校高学年から中学生にかけて発症し、高校生の頃にピークを迎えます。
その後、20歳前後でホルモンバランスが安定すると自然に改善することが多いです。
ただし、適切な治療を行わないと炎症が長期化し、ニキビ跡として残る可能性があります。
特に化膿性のニキビや炎症の強いニキビは、クレーター状の陥凹性瘢痕を残すリスクが高いため、早期の適切な治療が重要です。
思春期ニキビの種類と症状

思春期ニキビは進行度によって4つのタイプに分類されます。
それぞれの特徴を理解することで、適切な対処法を選択できます。
思春期ニキビの進行段階
ニキビの種類 | 特徴 | 炎症の有無 | 治療の緊急度 |
---|---|---|---|
白ニキビ | 毛穴に皮脂が詰まった初期段階 | なし | 低 |
黒ニキビ | 皮脂が酸化して黒く見える状態 | なし | 低 |
赤ニキビ | 炎症を起こして赤く腫れた状態 | あり | 中 |
黄ニキビ | 化膿して膿が溜まった状態 | あり | 高 |
白ニキビ
白ニキビは思春期ニキビの最も初期の段階で、コメドとも呼ばれます。
毛穴の出口が角質で塞がれ、内部に皮脂が蓄積した状態です。
まだ炎症は起きていないため、適切な処置を行えば跡を残すことなく改善できます。
肌表面に白い小さな隆起として現れ、触ると硬い感触があります。
この段階での適切なケアが、ニキビの悪化を防ぐ重要なポイントとなります。
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黒ニキビ
白ニキビが進行し、毛穴の出口が開いた状態です。
詰まった皮脂や角質が空気に触れて酸化し、黒く変色します。
炎症はまだ起きていませんが、放置すると赤ニキビへと進行する可能性があります。
鼻の頭や小鼻周りに多く見られ、毛穴の黒ずみと間違われることがあります。
適切な洗顔とスキンケアで改善が期待できます。
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赤ニキビ
毛穴内でアクネ菌が増殖し、炎症反応を起こした状態です。
赤く腫れ上がり、触ると痛みを感じることがあります。
この段階では自己処理による悪化のリスクが高いため、皮膚科での治療が推奨されます。
炎症が深部まで及ぶと、治癒後にニキビ跡として残る可能性があります。
適切な抗炎症治療を早期に開始することが重要です。
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黄ニキビ
赤ニキビがさらに悪化し、毛穴内に膿が溜まった状態です。
中央部に黄色い膿が透けて見え、周囲は赤く炎症を起こしています。
最も重症度の高い段階で、ニキビ跡として残るリスクが非常に高いです。
自己判断での処置は絶対に避け、皮膚科での専門的な治療が必要です。
適切な治療により炎症を抑制し、瘢痕形成を最小限に抑えることが可能です。
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思春期ニキビの正しい治し方

思春期ニキビの改善には、正しいスキンケアと生活習慣の改善が不可欠です。
以下の方法を実践することで、効果的にニキビを改善できます。
思春期ニキビに効果的な洗顔方法
正しい洗顔は思春期ニキビ改善の基本です。
以下のポイントを守って、毎日朝晩2回の洗顔を行いましょう。
洗顔の基本手順
- 手をきれいに洗う
- ぬるま湯(32〜35℃)で顔を軽く湿らせる
- 洗顔料を十分に泡立てる
- 泡で包み込むように優しく洗う
- ぬるま湯でしっかりとすすぐ
- 清潔なタオルで軽く押さえるように拭く
洗顔時の注意点
- ゴシゴシ擦らない
- 熱すぎるお湯は使わない
- 洗いすぎない(1日2回まで)
- 洗顔料の選び方も重要
思春期ニキビ向けスキンケアの選び方
思春期ニキビに適したスキンケア製品の選び方をご紹介します。
洗顔料の選び方
- ノンコメドジェニック処方のもの
- 殺菌・抗炎症成分配合のもの
- 肌に優しい弱酸性のもの
- 過度に洗浄力の強すぎないもの
化粧水・保湿剤の選び方
- オイルフリー処方のもの
- さっぱりタイプのもの
- 抗炎症成分配合のもの
- アルコール成分の少ないもの
思春期ニキビの生活習慣改善
スキンケアだけでなく、生活習慣の改善も思春期ニキビの治療には欠かせません。
睡眠の質を向上させる
- 1日7〜8時間の睡眠を確保する
- 22時から2時の肌のゴールデンタイムに就寝する
- 就寝前のスマホ使用を控える
- 規則正しい睡眠リズムを作る
食生活の改善
以下の栄養素を意識して摂取しましょう。
- ビタミンA:皮膚の新陳代謝を促進(レバー、ニンジン、かぼちゃ)
- ビタミンB群:皮脂分泌を調整(納豆、マグロ、バナナ)
- ビタミンC:抗炎症作用(柑橘類、ブロッコリー)
- ビタミンE:抗酸化作用(アーモンド、アボカド)
- 亜鉛:皮膚の修復を促進(牡蠣、赤身肉)
避けるべき食品
- 糖質の多い食品(お菓子、ジュース)
- 脂質の多い食品(揚げ物、ファストフード)
- 乳製品の過剰摂取
- 刺激の強い食品(辛いもの)
思春期ニキビの予防対策

思春期ニキビの予防には、日常生活での継続的な取り組みが重要です。
以下の対策を実践することで、ニキビの発症を予防し、既存のニキビの悪化を防ぐことができます。
思春期ニキビの日常的な予防法
触らない・潰さない
ニキビを触ったり潰したりすることは、炎症を悪化させる最も危険な行為です。
手には多くの細菌が付着しており、ニキビに触れることで感染リスクが高まります。
また、無理に潰すと皮膚組織が損傷し、ニキビ跡として永続的に残る可能性があります。
紫外線対策の徹底
紫外線は皮脂を酸化させ、炎症を悪化させる要因となります。
日焼け止めクリーム(SPF30以上)を毎日使用し、外出時は帽子や日傘を併用しましょう。
ただし、重いテクスチャーの日焼け止めは毛穴を塞ぐ可能性があるため、ノンコメドジェニック処方のものを選びましょう。
清潔な環境の維持
以下のアイテムを定期的に清潔に保つことが重要です。
- 枕カバー(週2〜3回交換)
- タオル(毎日交換)
- スマートフォン画面(毎日消毒)
- メイク道具(定期的に洗浄)
思春期ニキビの環境的要因対策
ストレス管理
思春期は学業や人間関係でストレスを感じやすい時期です。
ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を促進します。
以下のストレス解消法を実践しましょう。
- 適度な運動(週3回、30分程度)
- 趣味の時間を作る
- 深呼吸やストレッチ
- 信頼できる人への相談
季節に応じたケア
思春期ニキビは季節によって症状が変化します。
春夏のケア
- 汗をかいたらすぐに拭き取る
- 冷房による乾燥に注意
秋冬のケア
- 乾燥による皮脂分泌の増加に注意
- 保湿を重視したスキンケア
- 暖房による室内乾燥対策
思春期ニキビの長期的な管理
定期的な皮膚科受診
思春期ニキビは皮膚疾患であり、適切な医学的管理が必要です。
以下の場合は必ず皮膚科を受診しましょう。
- 赤ニキビや黄ニキビが多発している
- 市販薬で改善しない
- ニキビ跡が気になる
- 精神的な負担が大きい
継続的なケアの重要性
思春期ニキビは一過性のものではなく、数年間続く可能性があります。
短期間で劇的な改善を期待するのではなく、継続的なケアを心がけることが重要です。
思春期ニキビの薬による治療

思春期ニキビの治療には、市販薬と処方薬があります。
症状の程度に応じて適切な治療法を選択することが重要です。
思春期ニキビの市販薬治療
外用薬(塗り薬)
市販のニキビ治療薬には以下のような有効成分が含まれています。
有効成分 | 効果 | 代表的な製品 |
---|---|---|
イオウ | 角質軟化・殺菌作用 | クレアラシル |
サリチル酸 | 角質溶解・殺菌作用 | ビフナイト |
イブプロフェンピコノール | 抗炎症作用 | ペアアクネクリーム |
レゾルシン | 殺菌・角質軟化作用 | アクネス治療薬 |
内服薬(飲み薬)
市販の内服薬は主にビタミン類やL-システインを含有しています。
- ビタミンB群:皮脂分泌の調整
- ビタミンC:抗酸化作用
- L-システイン:肌の新陳代謝促進
思春期ニキビの皮膚科治療
皮膚科では保険適用の治療薬を使用した、より効果的な治療が可能です。 市販薬では改善が見られない場合や、炎症の強いニキビには専門医による治療が最も確実で安全な選択肢となります。
- アダパレン(ディフェリンゲル):面皰治療薬
- 過酸化ベンゾイル(ベピオゲル):殺菌・角質溶解作用
- 抗生物質外用薬:炎症性ニキビの治療
- テトラサイクリン系抗生物質:アクネ菌の増殖抑制
- マクロライド系抗生物質:抗炎症作用
- 漢方薬:体質改善
思春期ニキビ治療の注意点
治療薬使用時の注意事項
- 医師の指示に従って正しく使用する
- 副作用が現れた場合は速やかに相談する
- 自己判断で治療を中断しない
- 他の薬との併用は医師に相談する
治療効果の評価
ニキビ治療の効果は通常2〜3か月で現れ始めます。
即効性を期待せず、継続的な治療を心がけることが重要です。
まとめ:思春期ニキビは適切な治療で改善できる
思春期ニキビは適切な知識と治療法により改善可能な皮膚疾患です。
本記事でご紹介した正しい洗顔方法、スキンケア、生活習慣の改善、そして必要に応じた治療薬を組み合わせることで、効果的にニキビを治療できます。
特に重要なのは、自己判断による間違った処置を避け、症状が悪化する前に皮膚科を受診することです。
思春期ニキビは一時的なものですが、適切な治療を行わないとニキビ跡として永続的に残る可能性があります。
継続的なケアと専門医による適切な治療により、健やかな肌を取り戻し、自信を持って青春時代を過ごしましょう。
【参考文献】
※注1) 参考:尋常性痤瘡,https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/guideline/202205/575091.html,2025年7月15日