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2025.10.10 酒さが治った人のケア法は?酒さの症状別の正しい治し方を皮膚科専門医が解説
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酒さによる顔の赤みや炎症にお悩みではありませんか。
「一生治らないのではないか」と不安に感じている方も多いでしょう。
酒さは適切な治療法を選択することで症状の改善が期待できる疾患です。
この記事では、酒さの治し方について症状別の治療法から日常生活でできる対策まで、皮膚科専門医の知見をもとに詳しく解説します。
酒さの治し方の基本|知っておくべき3つのアプローチ

酒さの治し方は、症状の段階や個人の肌質によって異なりますが、基本的に3つの主要なアプローチがあります。
酒さは、顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患ですが、適切な治療により症状をコントロールできます。
悪化要因の回避
酒さを治す上で最も重要なのが、症状を悪化させる因子を特定し、それらを避けることです。
- 紫外線や気温の急激な変化
- アルコールや香辛料の摂取
- 精神的ストレス
- 激しい運動
- 熱いお湯・長風呂・サウナ・ホットヨガ
- 刺激の強い化粧品
これらの因子を日常生活から除去するだけでも、症状の改善が期待できます。
悪化因子は個人差があるため、自分の症状パターンを記録し、何が引き金となるかを把握することが重要です。
適切なスキンケア
酒さの肌は非常に敏感になっているため、低刺激のスキンケアが必要です。
- 30℃前後のぬるま湯で優しく洗顔
- 刺激の少ない保湿剤で十分な保湿
- 紫外線対策の徹底
- 敏感肌用の化粧品の選択
適切なスキンケアにより、肌のバリア機能を保護し症状の悪化を防げます。
間違ったスキンケアは症状を悪化させる可能性があるため、製品選びは慎重に行いましょう。
専門的な治療
症状が進行している場合は、皮膚科での専門的な治療が必要です。
内服薬、外用薬、レーザー治療など、症状に応じた治療法を選択します。
早期の治療開始により、症状の進行を抑制し改善を促進できます。
自己判断での治療は症状悪化のリスクがあるため、皮膚科専門医の診断を受けることが大切です。
【症状別】酒さの治し方|段階に応じた効果的な治療法

酒さの治し方は、症状の進行段階によって最適な治療法が異なります。
初期段階(紅斑毛細血管拡張型)の治し方
初期段階では、主に顔のほてりや一時的な赤みが症状として現れます。
この段階での治し方は、生活習慣の改善とスキンケアが中心となります。
初期段階の主な治療法- 生活習慣の改善
- スキンケア
- 紫外線対策
初期段階では、適切なセルフケアにより症状の改善が期待できます。
この時期に適切な対策を講じることで、症状の進行を防ぎ重症化を避けることができます。
進行段階(丘疹膿疱型)の治し方
症状が進行すると、赤みに加えてニキビのような膿疱が出現します。
この段階では、医学的治療が必要になります。
進行段階の主な治療法- 外用薬:ロゼックスゲル(メトロニダゾール)、イベルメクチンクリーム、アゼライン酸
- 内服薬:テトラサイクリン系抗生物質、漢方薬
- レーザー治療:Vビームレーザー、IPL治療
これらの治療により、炎症を抑制し症状の改善を図ります。
この段階では複数の治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
重症段階(鼻瘤型)の治し方
最も重症な段階では、鼻の周辺が肥厚し形状が変化します。
この段階では、手術的治療が必要となる場合があります。
重症段階の治療選択肢- CO2レーザー手術
- 電気メスによる切除
- 形成外科的手術
重症化を防ぐため、早期の治療開始が重要です。
この段階では美容面での影響も大きいため、心理的サポートも含めた総合的な治療が必要になります。
内服薬による酒さの治し方

炎症が強い場合や膿疱を伴う酒さには、内服薬による治療が効果的です。
医師の指導のもと、適切な治療を行うことで症状の改善が期待できます。
テトラサイクリン系抗生物質
酒さの治療で最も一般的に使用される内服薬です。
主な薬剤と特徴
薬剤名 特徴 ミノマイシン 抗炎症作用が強い ビブラマイシン 効果が安定している これらの薬剤は、炎症を抑制し膿疱の改善に効果的です。
長期投与により、症状の安定化を図ります。
抗生物質の長期使用には副作用のリスクもあるため、定期的な診察が必要です。
漢方薬による体質改善
酒さの治療において、漢方薬は体質改善に有効です。
酒さに使用される主な漢方薬- 清上防風湯:赤ら顔、のぼせに効果
- 桂枝茯苓丸:血行改善、ホルモンバランス調整
- 十味敗毒湯:解毒作用、皮膚炎改善
- 黄連解毒湯:炎症抑制、熱感の改善
漢方薬は副作用が少なく、長期服用による体質改善が期待できます。
西洋薬との併用も可能で、相乗効果により症状の安定化を図ることができます。
外用薬による酒さの治し方

酒さ治療において、外用薬は症状の改善に重要な役割を果たします。
患部に直接作用するため、副作用が少なく安全性が高いのが特徴です。
症状や肌質に応じて、適切な外用薬を選択することが重要です。
ロゼックスゲル(メトロニダゾール0.75%)
2022年に酒さの治療薬として保険適用となった外用薬です。
- 抗菌作用と抗炎症作用を併せ持つ
- 1日2回、患部に薄く塗布
- 比較的刺激が少ない
多くの患者様で症状の改善が認められています。
保険適用により経済的負担が軽減され、継続しやすい治療選択肢となっています。
イベルメクチンクリーム
酒さの原因の一つであるニキビダニを減らす効果があります。
- ロゼックスより効果が高いとされる
- 1日1回、夜に使用
- 刺激感がほとんどない
早期の症状改善が期待できる治療選択肢です。
特に膿疱型の酒さに対して高い効果を示すことが報告されています。
AZAクリア(アゼライン酸)
抗炎症作用と角質正常化作用を持つ外用薬です。
- 毛穴の詰まりを改善
- 皮膚の炎症を抑制
- 色素沈着の改善効果も
長期使用による肌質改善が期待できます。
海外では酒さの標準治療薬として広く使用されており、安全性の高い治療選択肢です。
レーザー治療による酒さの治し方

レーザー治療は特に毛細血管拡張による赤みに効果的です。
薬物療法で改善が不十分な場合や、即効性を求める場合に選択されます。
複数回の治療により、持続的な改善効果が期待できます。
Vビームレーザー治療
酒さの治療で最も効果的とされるレーザー治療です。酒さや赤ら顔、毛細血管拡張症、血管腫など血管病変に使用する色素レーザーです。
血管中のヘモグロビンに反応し、血管を破壊します。血管拡張や増殖によって肌に赤みが出ているような症状に効果が期待できます。
赤ら顔、酒さに対する治療回数は、4週間に1回の間隔で5~10回程度です。
治療後は一時的に赤みが増すことがありますが、数日から1週間程度で落ち着きます。
IPL(光治療)
幅広い波長の光により、赤みと同時に肌質改善も期待できます。
- 痛みが少ない
- ダウンタイムが短い
- 肌全体のトーンアップ効果
- 比較的費用が安い
軽度の赤みの方に適した治療法です。
複数回の治療により徐々に改善が見られ、肌全体の質感向上も期待できます。
Nd:YAGレーザー
波長が長いため、肌の深層にある血管にアプローチすることができます。
肌の深いところにある赤みをマイルドに治療します。Vビームよりは、期待できる効果は穏やかとなります。
他のレーザー治療で効果が不十分な場合の選択肢として有用です。
生活習慣の改善による酒さの治し方

酒さを治すためには生活習慣の改善が治療の基盤となります。
日常生活の中で悪化因子を避け、肌に優しい習慣を身につけることで症状の改善が期待できます。
食事による酒さの治し方
食事は酒さの症状に大きな影響を与えます。
避けるべき食べ物・飲み物- アルコール類
- 香辛料(唐辛子、胡椒など)
- 熱い飲み物・食べ物
- カフェイン
- チョコレート
- チーズなどの発酵食品
これらの食品は血管拡張を促進し、顔の赤みやほてりを引き起こしやすくなります。
特に、アルコールは要注意です!アルコールは血管を拡張させるため、酒さの症状を悪化させる可能性があります。酒さの治療中は、飲酒を控えるようにしましょう。
推奨される食べ物- オメガ3脂肪酸を含む魚類
- 抗酸化作用のある野菜・果物
- プロバイオティクス食品
抗炎症作用のある食品を積極的に摂取することで、体の内側から症状改善をサポートできます。
環境調整
酒さ治療において、環境の調整は非常に重要です。
外出時の注意点- 寒暖差を避ける
- 季節の変わり目は特に注意
- 帽子や日傘で紫外線対策
- マスクによる蒸れに注意
- 冬場は保湿と防寒を両立
気温の変化によって症状が悪化しやすいので、適切な温度管理により、症状の悪化を防ぎましょう。
外出前の天候チェックと適切な服装選択により、環境変化による影響を軽減できます。
ストレス管理と睡眠
精神的ストレスは酒さの大きな悪化因子です。
効果的なストレス管理法
- 規則正しい睡眠(7〜8時間)
- 適度な運動(激しくない程度)
- リラクゼーション法の実践
- 趣味や娯楽の時間確保
- 深呼吸や瞑想の習慣
慢性的なストレスは免疫系に影響を与え、炎症を悪化させる可能性があります。
睡眠環境の改善
- 寝室の温度と湿度の調整
- 就寝前のスマホ使用を控える
- 規則的な就寝・起床時間
- 快適な寝具の使用
睡眠の質を向上させることで、肌の自然治癒力を高めることができます。
良質な睡眠により、肌の回復力が向上します。
酒さ改善に効果的なスキンケア方法

正しいスキンケアは症状改善の基本です。
敏感になった肌を保護し、バリア機能を回復させることが重要です。
刺激を避けながら、必要な保湿と保護を行います。
洗顔の正しい方法
酒さの肌はデリケートなため、洗顔方法に注意が必要です。
- 30℃前後のぬるま湯を使用
- 洗顔料をよく泡立てる
- 肌をこすらず泡で優しく洗う
- しっかりとすすぐ
- 清潔なタオルで押さえるように水分を取る
物理的な刺激を最小限に抑えることで、炎症の悪化を防げます。
使用を避けるべき洗顔料- スクラブ入り洗顔料
- アルコール系洗顔料
- 香料の強い製品
- 石鹸系の洗顔料
これらの製品は肌に刺激を与え、症状を悪化させる可能性があります。
低刺激性の敏感肌用洗顔料を選択しましょう。
保湿の重要性
酒さのケアでは適切な保湿は欠かせません。
推奨される保湿成分
成分名 効果 セラミド 肌のバリア機能回復 ヒアルロン酸 水分保持 ナイアシンアミド 抗炎症作用 アラントイン 鎮静効果 これらの成分は酒さの肌に優しく、症状改善をサポートします。
避けるべき成分
- ヘパリン類似物質(血行促進により赤みが増す可能性)
- アルコール系成分
- 香料・着色料
- 強い防腐剤
ヘパリン類似物質は、血行を促進して赤みが増す可能性があるので、一般的に酒さには推奨されていません。
刺激成分を避けることで、症状の悪化を防ぎ改善を促進できます。
肌の状態を観察しながら、適切な保湿剤を選択します。
紫外線対策
紫外線は酒さの症状を悪化させる大きな原因の一つです。
効果的な紫外線対策- SPF30以上の日焼け止めを使用
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)の日焼け止めを使用
- 帽子や日傘の併用
- 室内でも窓際では対策が必要
- 曇りの日も対策を怠らない
- 紫外線の強い時間帯は外出を控える
日焼け止めはSPF30以上、毎日使えて肌が荒れないものを選ぶことが重要です。
外出時には、日焼け止めを塗るだけでなく、帽子や日傘なども活用して、紫外線から肌を守りましょう。
継続的な紫外線対策により、症状の悪化を防げます。
酒さが治った人はいる?症例の紹介
天神みきクリニックでの酒さ治療の症例をご紹介します。
50代 酒さ・赤ら顔
出典:天神みきクリニック 年代・悩み 50代・顔全体の赤み、ぶつぶつ 治療内容 Vビームフェイシャル(顔全体)/3回 金額 77,000円(税込) 副作用 赤み、腫れ、むくみ、内出血、水疱、色素沈着など 20代 酒さ・赤ら顔
出典:天神みきクリニック 年代・悩み 20代・鼻周りの赤み、ぶつぶつ 治療内容 Vビーム毛細血管治療(鼻全体)/3回
イベルメクチンクリーム30g金額 70,400円(税込) 副作用 赤み、腫れ、むくみ、内出血、水疱、色素沈着など 酒さの治し方に関するよくある質問
酒さの治し方に関するよくある質問を紹介します。
酒さは完治するのでしょうか?
酒さは慢性疾患のため、完全な「完治」は難しいとされています。
しかし、適切な治療により症状を大幅に改善し、日常生活に支障がない状態まで回復することは十分可能です。
継続的な管理により、良好な状態を維持できます。
治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
症状の程度により異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 軽症:3〜6ヶ月
- 中等症:6ヶ月〜1年
- 重症:1年以上
赤みの改善には時間がかかりますが、膿疱などは比較的早期に改善が見られます。
自分の判断で治療を中断せず、医師の指示を守って根気よく継続的な治療を行うことが重要です。
市販の薬で治療できますか?
酒さを治す上で、市販薬での根本的な治療は困難です。
症状の改善には処方薬やレーザー治療が必要な場合が多いため、皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。
自己判断での治療は症状悪化のリスクがあるため、専門医の指導を受けることが安全で確実です。
化粧はしても大丈夫ですか?
酒さがあっても、化粧は可能ですが、肌への負担を減らすために、厚塗りは避け、ナチュラルメイクを心がけましょう。
また、肌に優しいタイプのクレンジング剤を選び、こすらず、優しく丁寧に落とすことが重要です。
まとめ:効果的な酒さケアで健やかな肌を取り戻そう
酒さの治し方は、症状の段階や個人の状態により異なりますが、適切なアプローチにより改善が期待できます。
酒さ治療の重要ポイント
- 早期診断と治療開始
- 悪化因子の特定と回避
- 継続的なスキンケア
- 医師との連携による治療
- 生活習慣の改善
これらの要素を組み合わせた総合的なアプローチが、症状改善の鍵となります。
継続的な治療と生活習慣の改善により、健やかな肌を取り戻すことができます。
一人で悩まず、皮膚科専門医に相談し、最適な治療法を見つけましょう。